お酒の撮影はどう光を作るのか|メスカル撮影で考えた透明な液体の表現方法

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料理撮影の専門知識
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誠文堂新光社から はじめてのメスカルの教科書 が刊行された。この写真はトビラのイメージカットとして撮影したものだ。タイトルの通り、メスカルというお酒の世界を、知識と写真で案内する一冊になっている。


メスカルはメキシコで作られる蒸留酒で、日本ではテキーラの方が有名かもしれない。テキーラはアガベ・アスルという特定の品種のみを使うのに対し、メスカルは50種類以上のアガベを使うことができる。品種や土地、作り手によって味や香りが大きく変わる、非常に個性の強い酒だ。いわゆるワインのようなテロワールの考え方がある酒でもある。


今回の撮影で難しいのは、メスカル自体が透明な液体だという点だった。料理であれば焼き色や質感、色そのものが写真の要素になるが、透明な酒の場合は液体そのものではなく、光と影で雰囲気を作ることになる。つまり、被写体ではなく光を撮る感覚に近い。


ライティングはメキシコの乾いた空気をイメージして、少しアンバー寄りのトーンで設計している。ただ暗いバーのような雰囲気にすると、初心者には近寄りがたい酒に見えてしまう。今回は本のコンセプトもあり、手に取りやすい酒という印象を出すため、やや明るめのトーンで透明感を残しながら雰囲気を作っている。


透明なグラスの撮影では、グラスに直接光を当てるのではなく、透過光と背景の明るさのバランスで形を出していく。グラスの輪郭、液体の透明感、ガラスの厚み。そういったものは、反射光と透過光の位置関係で決まる。この設計ができないと、ただの透明な物体になってしまい、写真として成立しない。


料理撮影でもドリンク撮影でも同じだが、被写体の色や形をそのまま撮るのではなく、光で立体と空気を作るという考え方が重要になる。特に透明な被写体は、光の設計そのものが写真の完成度を決めると言ってもいい。


写真はカメラで撮っているように見えるが、実際には光を設計して撮っている。こういう撮影になるほど、機材よりもライティングの知識と経験が重要になってくると思う。



料理撮影の依頼については、 「料理撮影の依頼完全ガイド」でまとめています。

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