「屋台の概念をくつが...
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08.Nov.2025
ぴあMOOK「東京老舗名店」の仕事で、台東区根岸の笹乃雪に入り、コース料理のうち三品──冷奴・あんかけ豆腐・前菜──を一枚に収めて撮影した。
創業元禄四年。豆富一筋で三百有余年。なによりこの店が「絹ごし豆富発祥」を掲げている事実の重さを、皿の白が静かに証言している。
冷奴は、舌に乗せた瞬間にこちらの時間感覚を狂わせる。豆の甘みが露骨ではなく、しかも濡れたような滑らかさが続く。茗荷や紫蘇、生姜、葱の香りは従であって、主は終始「白」の奥の甘さにある。
つづくあんかけ豆富は、鰹出汁を基にした温かな「あん」に覆われ、辛子を少量溶いたのち、四つに割って器を手前に寄せて口をつける──という所作ごと含めて、この店の年輪である。出汁が豆富に沈殿してゆく速度まで穏やかで、食べ手の呼吸が知らぬ間に揃ってしまう。 前菜は、彩美しい。
三品が横一線に並ぶ画を撮ると、冷と温、そのあいだに置かれた華やぎという三段の呼吸が一枚に同居した。光を整えたフレームの内側には、調理の技ではなく、歴史そのものの温度が写る。こういう皿は「写真に撮る」より、むしろ「時間を止める」というほうが近い。
この店はまた来る。撮りたいから、そして確かめ続けたいからだ。
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ラ・クレアシオン
住所:埼玉県草加市新栄