浅草の三定にて、ぴあMOOK「東京老舗名店」掲載用の撮影を行い、上天ぷらを撮影した。海老が二尾、小さなかき揚げ、そしてなすの天ぷらが並ぶ一皿である。
今回の撮影で一番重要だったのは、「カラッと揚がった感じ」をどう写真で表現するかだった。天ぷらは油の料理だが、写真では油っぽく見えてはいけない。逆に、乾いたような軽さを感じさせる必要がある。この矛盾した質感をどう表現するかが、天ぷら撮影の一番難しいところだと思う。
ライティングはサイドから光を入れて、衣の凹凸に細かい影を作るようにした。正面から光を当ててしまうと衣の質感が消えてしまい、平面的な写真になってしまう。少し横から光を入れることで、衣の立体感が出て、揚げたての軽い食感が写真に出てくる。揚げ物の撮影では、光の方向で美味しそうかどうかがほぼ決まると言ってもいい。
色の再現については、三定の天ぷらはごま油の香りが特徴で、一般的な天ぷらよりも少し揚げ色が濃い。その色をそのまま出すことを意識した。揚げ物は明るくしすぎると実際より白っぽくなり、逆に暗くしすぎると重たい印象になる。実際に目で見た揚げ色をどこまで正確に写真にするか、ここは料理撮影では非常に重要なポイントになる。
海老は身が張っていて、衣は軽い。小さなかき揚げには海老や野菜が混ざり、香ばしさのかたまりのような存在になっている。なすの天ぷらは衣と実の境界が少し透けるような質感で、水分を含んだ柔らかさが特徴的だった。それぞれ質感が違うため、本来は光を変えて撮りたいところだが、一皿の中でそれぞれがきちんと美味しそうに見えるバランスを作る必要がある。盛り合わせの撮影は、単品撮影よりも難しいことが多い。
料理撮影では、料理を明るく撮れば美味しそうになるわけではない。料理ごとに合う光があり、合う色がある。天ぷらの場合は、光を横から入れて衣の質感を出し、揚げ色を正確に再現することが、美味しそうに見せる一番の近道になる。
料理撮影は、料理の形を写すのではなく、食感や温度、香りまで想像できる写真にする仕事だと思っている。天ぷらの撮影では、その一枚の写真から「サクッ」という音が聞こえてくるような写真を目指して撮影している。これが料理撮影で一番大切なことだと思う。
料理撮影の依頼については、 「料理撮影の依頼完全ガイド」でまとめています。
ラ・クレアシオン
住所:埼玉県草加市新栄1-13-5
サニーヒルズ103
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