「人形町に息づく甘味の原点 ― 初音の白玉クリームあんみつ」

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人形町の大通りに佇む「初音」。創業は天保年間、実に190年近い歴史を刻む老舗だ。今回、ぴあMOOK「東京老舗名店」の取材で、その看板のひとつ――白玉クリームあんみつを撮影させていただいた。  


ガラス器に盛られた甘味は、一見すれば懐かしさに溢れている。しかし、ひとつひとつの素材に耳を澄ませば、土地の記憶と作り手の矜持が重なり合う。小豆は北海道・十勝産。しっかりと炊き上げられ、瑞々しさを失わずに粒の輪郭を保つ。寒天の原料は、小笠原諸島から届く天草。透明感のある切り口から、潮風を孕んだ南の海が立ち上がる。黒蜜に用いる黒糖は、沖縄諸島産。深く、まろやかで、ほんのりと土を思わせる香りが後味を支える。  


そこに白玉の柔らかさ、バニラアイスの冷たさが重なり、和と洋、伝統と親しみの均衡が取られていく。器の上で交錯するのは単なる甘味ではなく、風土を繋ぎ、人の手によって磨かれてきた一皿だ。  


現在の店舗は1963年築。昭和の面影を色濃く残す木造建築の空気感もまた、あんみつの味を引き立てる。椅子に腰掛け、窓越しの光を感じながら匙を運べば、東京という街の時を逆流するかのようだ。  


カメラを通じて切り取った瞬間には、長い時間を背負った甘味の静かな凛とした姿があった。老舗とは、ただ古きを守るだけではない。日々の積み重ねで時代を受け止め、その輪郭を更新し続けてきた証そのものなのだ。



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ラ・クレアシオン

住所:埼玉県草加市新栄

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