料理撮影:赤身の艶、酢飯の余韻──六本木「月灯花」で肉寿司を撮る

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六本木の一角、灯りを落としたカウンターに腰を下ろすと、空気がしんと張り詰める。料理人の所作は無駄がなく、そして美しい。今回足を運んだのは、肉割烹の名を掲げる「月灯花」。この夜、私のレンズが追ったのは、看板の一つである肉寿司だった。  


まず目に映るのは、しっとりと光を宿した赤身の切り口。薄すぎず、厚すぎず。刃が入った瞬間の緊張感がまだ残っているようで、カメラを構えた手が自然と慎重になる。酢飯の白が赤を支え、わずかな艶が全体をまとめ上げる。肉の温度、脂の融け具合、握り手の圧の強さ――そのすべてが、ひとつの「画」として現れるのだ。  


肉寿司は、寿司の文脈と肉料理の力強さが交錯する境界線にある。そのあわいをどう表現するか。光の角度を微妙に変え、赤身の深みを強調する。脂の筋に柔らかなハイライトを走らせる。ひとコマごとに料理の呼吸を写し取るような感覚だ。  


撮影を終えてふと振り返ると、肉寿司という料理の奥に「月灯花」が描こうとしている物語が見えてくる。肉の可能性を極めること。それを寿司というかたちで差し出すこと。その挑戦を、写真でどう切り取れるか。料理と対話するようにシャッターを重ねた時間だった。  


六本木の夜は華やかでいて儚い。その中で「月灯花」の肉寿司は、一瞬の美を宿す。私の仕事は、その一瞬を記憶として残すこと。写真に込めたのは、赤身の艶と酢飯の余韻、そして料理人の静かな矜持である。


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ラ・クレアシオン

住所:埼玉県草加市新栄1-13-5

          サニーヒルズ103

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