伊勢海老と彩美牛をどう撮るか|コース料理の質感を引き出す料理撮影のライティング

query_builder 2026/03/05
料理撮影の専門知識
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佐原のオーベルジュ・ド・マノワール吉庭様にてメニュー撮影を行いました。今回撮影したのは「煌めきコース」。和前菜の季節の八寸盛りから始まり、洋前菜、スープ、ポワソン、ヴィアンドへと続く構成です。ポワソンは千葉県飯岡産の伊勢海老、ヴィアンドは千葉県産の彩美牛。いずれも素材の質が高く、料理写真としてもそれぞれの質感をどう表現するかが重要になる撮影でした。


今回特に意識したのは、彩美牛と伊勢海老という主役級の食材をどのように光で描き分けるかという点です。彩美牛はきめ細やかな肉質と上質な脂、そして絶妙な火入れが魅力です。その艶感をしっかり見せるため、ヴィアンドにはやや積極的なライティングを行い、肉の表面に立体感と照りが出るように光を組みました。主役としての存在感をしっかりと画面の中に作ることを狙っています。


一方で伊勢海老は存在感が強い食材のため、光を当てすぎると画面全体が重くなってしまいます。そこで伊勢海老には直接強い光を当てず、小さなリフレクターを使い、光源の端の柔らかい部分だけを使うように調整しました。光源の中心ではなく、あえて光が切れそうな端の部分を使うことで、伊勢海老の立体感は保ちながらも柔らかな印象に仕上げています。足りない光量は遠めに置いた銀レフで補い、全体のバランスを整えました。


今回の撮影のテーマは「光源をどこで使うか」です。ライトは必ずしも中心の強い部分を使う必要はありません。むしろ光源の端にある柔らかな光や、漏れるような光を使うことで食材の質感を自然に表現できることがあります。ディフューザーには天トレを使用し、広く柔らかな光の環境を作ることで、こうした繊細なコントロールを可能にしています。


料理撮影では、食材によって積極的に光を当てるべきものと、あえて抑えるべきものがあります。単品撮影であれば料理ごとにライトを調整できますが、コース料理では複数の料理が並ぶため、全体の統一感を保つ必要があります。レタッチで部分的にコントラストを調整することも技術的には可能ですが、それを多用するとコース全体の写真として落ち着きがなくなってしまいます。そのため、撮影段階で食材ごとの質感を光で作り分けることが重要になります。


料理撮影は単に料理を明るく写す仕事ではありません。食材の個性を理解し、その質感をどのように光で引き出すかを瞬時に判断しながら撮影を組み立てていく必要があります。こうした判断の積み重ねが、料理写真の完成度を大きく左右します。30年以上にわたり1万店舗以上の料理撮影を行ってきた経験の中で培ってきたのは、まさにこうした光の使い分けです。料理撮影には専門性が必要であり、その差は写真の説得力として現れます。



料理撮影の依頼については、 「料理撮影の依頼完全ガイド」でまとめています。

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