高級店のナポリタンをどう撮るか|“店の空気感”まで写す料理撮影の考え方

query_builder 2025/05/02
料理撮影の専門知識
ブログ

都内某所。

店名も住所も公開されていない、限られた政財界の人間だけに開かれたサロンがあります。


今回撮影したのは、そのサロンで特に人気が高いというスパゲッティー・ナポリタン。 ミシュランの星を獲得したシェフが複数在籍し、決まったメニューも存在しない。最高の食材を客に見せ、その日の気分や会話に合わせて料理を組み立てていく。そんな特別な空間です。


だからこそ、このナポリタンも、単なる“昔ながらの洋食”として撮ってしまうと成立しません。 必要なのは、料理単体の美味しさだけでなく、このサロンに流れている空気そのものを写真へ落とし込むことでした。


今回のライティングでは、光を全面に回していません。 ナポリタン全体を均一に照らすのではなく、光の端だけをわずかに当て、パスタの表面へ緩やかなグラデーションを作っています。


その結果、赤いソースの艶に濃淡が生まれ、アンダー気味のトーンの中でも、麺の立体感や熱感が自然に浮かび上がる構成になっています。


ナポリタンは、光を当てすぎると急に大衆的に見えやすい料理です。 逆に暗く落としすぎると、ソースの旨そうな照りが死んでしまう。その中間を探りながら、“特別な場所で食べるナポリタン”として成立する質感を意識して撮影しました。


背景も必要以上に情報を見せず、シャドウの中へ整理しています。 料理だけではなく、このサロン特有の静かな緊張感まで伝わるよう、光量やコントラストを細かく調整しました。


オーナーによると、これまで何人ものカメラマンが撮影してきたそうですが、なかなか納得できる写真にならなかったとのこと。 理由は単純で、これは“ただのナポリタン”ではないからです。


料理写真は、料理そのものを綺麗に見せるだけでは不十分です。 その店が積み重ねてきたブランドや、そこへ集まる人々の空気感まで含めて、初めて写真として成立すると考えています。


今回の撮影でも、ナポリタンという料理を超えて、このサロンそのものの温度感が伝わる一枚を目指しました。




料理撮影の依頼については、 「料理撮影の依頼完全ガイド」でまとめています。

----------------------------------------------------------------------

ラ・クレアシオン

住所:埼玉県草加市新栄1-13-5

          サニーヒルズ103

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG