スマホで撮った料理写真とプロ写真の違い
飲食店が知っておくべき料理写真の考え方
飲食店のホームページ、メニュー、Googleマップ、SNSに掲載する料理写真について、「スマホで撮るのとプロに依頼するのは何が違うのか」とよく聞かれます。 結論から言うと、違いは機材ではありません。 設計・光・見せ方、この3つです。ここが決定的に違います。 スマホでもきれいな写真は撮れます。しかし、 売れる写真、注文が増える写真、店の価値が上がる写真になるかは別の話です。 この違いを、実際の撮影現場の経験をもとに説明します。
写真の目的が違う
スマホ写真は「記録」、プロ写真は「広告」 スマホ撮影の多くは記録写真になります。
一方、プロの料理写真は売るための写真です。 ここを間違えると、いくらきれいに撮れていても意味がありません。
例えば、次の用途であればスマホ写真で十分です。
・SNSに今日のまかないを載せる
・新メニュー試作の記録
・スタッフの日常投稿
・ストーリー投稿
・営業中の雰囲気写真
これは記録や情報発信なのでスマホで問題ありません。
しかし次の用途は完全に広告写真になります。
・メニュー表
・ホームページ
・Googleマップ
・グルメサイト
・看板
・チラシ
・Uber Eats などのデリバリーサイト
これらに使う写真は、**「料理の記録」ではなく「料理を売るための写真」**です。
広告写真は、見た人が「食べたい」と思う写真でなければ意味がありません。
光の作り方が違う
料理写真は光で決まる
料理写真は、ほぼ光で決まります。 これは30年以上料理撮影をしていて断言できます。
スマホで撮る場合、多くは次のような状態になります。
・店内照明
・天井のライト
・窓の光
・影が強い
・色が混ざる
・皿が暗い
・料理だけ白くなる
つまり、光を作っていない状態です。
プロの料理撮影では光を作ります。
・光の方向を作る
・影の強さを調整する
・反射をコントロールする
・料理の立体感を出す
・艶を出す
・湯気やシズルを出す
・皿やテーブルも含めて光を作る
つまり、料理だけではなく空間全体の光を設計します。
<実際の撮影現場の例>
あるレストランでは、それまで広報担当者がSNSやWeb用の写真を撮影していました。
写真の経験はあったようですが、スナップ撮影の経験でした。 スナップ撮影は自然光で撮影します。 ストロボを使ってもカメラの上に付ける簡易ストロボで、真正面から光を当てます。 この時点で料理撮影とは真逆のことをしています。
料理撮影では正面から光を当てることはありません。 自然光だけで撮影することもありません。 フードフォトグラファーは大光量のストロボを使い、光を構築して撮影します。 そのため、安定した光で料理の質感や艶を表現することができます。 同じ料理でも、光が違うだけで写真はまったく別物になります。
盛り付けと構図が違う
料理人の盛り付けと写真の盛り付けは別物
料理人の盛り付けと、写真用の盛り付けは違います。 ここも非常に大きな違いです。
写真では、次のような調整を行います。
・高さを出す
・手前にメイン食材を置く
・色のバランスを調整する
・余白を作る
・器の向きを変える
・ソースを後から足す
・具材の位置を動かす
つまり、料理としての盛り付けではなく、写真として美味しく見える形に調整します。
失敗例
営業用の盛り付けのまま撮影
・具材が奥に寄っている
・手前が空いている
・皿が大きすぎる
・写真にするとスカスカに見える
成功例
撮影用に盛り直し
・メイン食材を手前に配置
・高さを出すように盛り付け調整
・ネギや薬味を最後に乗せる
・ソースを後がけ
・皿の向きを調整
これだけで写真の印象は大きく変わります。
写真の統一感が違う
メニュー写真は「1枚」ではなく「メニュー全体」で考える
お店のメニュー写真で一番多い問題は、写真の統一感がないことです。
よくある例として、
・写真の明るさがバラバラ(自動補正)
・色が違う(自動補正)
・背景が違う(毎回違う場所で撮影)
・皿の大きさが違う(三脚を使わない)
・角度が違う(三脚を使わない)
・影の方向が違う(撮影場所が毎回違う)
これをお客様は無意識に見ています。 統一感がないと、お店は安く見えます。
プロの撮影では、次のように撮影を統一します。
・カメラ位置固定
・光固定
・背景固定
・皿のサイズバランス調整
・トリミング統一
・色調整統一
つまり、メニュー写真を1枚の写真ではなく、メニュー全体を1つのデザインとして作ります。
これはスマホ撮影で一番難しい部分です。
まとめ
スマホ写真とプロ写真の一番大きな違い
スマホ写真とプロ写真の違いは次の通りです。
・写真の目的
・光の設計
・盛り付けと構図
・写真の統一感
・メニュー全体の設計
スマホでもきれいな写真は撮れます。 しかし、メニュー・ホームページ・集客に使う写真は、きれいな写真ではなく売れる写真である必要があります。 料理写真は料理を撮っているようで、実際は 料理・皿・光・影・色・余白・構図・統一感・メニュー構成 これらすべてを設計する仕事です。 ここが、スマホで撮った料理写真とプロの料理写真の一番大きな違いです。
料理撮影の依頼については、 「料理撮影の依頼完全ガイド」でまとめています。