料理撮影：「吉庭、通りに立つ——静謐な店内から、祭りの熱へ」 | 料理の撮影は長年の経験を活かすラ・クレアシオン | Blog

静けさをたたえた吉庭の店内に、今日のざわめきが忍び寄る。佐原の大祭。その始まりを前に、この一軒家レストランの一角では、ひとつの撮影が進んでいる。料理は、吉庭がこの祭りのために用意した特別なテイクアウトメニュー。普段はコースで供される品々とは趣を異にしつつも、そこに宿る技と美意識は確かだ。 　

テーブルの上に、ふた皿が並ぶ。クロックムッシュと、唐揚げ＆フライドポテト。それぞれ独立した皿ながら、並べてみると不思議な調和がある。クロックムッシュは、厚切りのハムと濃厚なベシャメルを挟んだパンに、焦げ目のついたチーズがとろりと重なる。光を受けて艶めく表面に、レンズが思わず吸い寄せられる。 　

対して、唐揚げとポテトは小気味よく揚げられ、熱の名残をまとって佇む。吉庭特製のソースが絡まり、ただの揚げ物では終わらない。甘さ、酸味、香りの輪郭がはっきりと立ち上がり、ひとつの小宇宙を形成している。 　

シャッターを切るごとに、明日この味が屋台に姿を変え、佐原の通りに立つ光景が浮かび上がる。吉庭という静謐な空間で生まれた一皿が、祭りという喧騒の中でどう輝くのか。それを想像しながら、いま記録を重ねている。

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