ストロボの光をどこに落とすかで、皿の温度が変わる。今回撮影したのは、茨城のとある完全予約制のイタリアン。看板も控えめな隠れ家のような店だが、料理は堂々たるものだった。
構成は一発撮り。ひと皿ずつではなく、コース全体を一枚の画面に組み上げる。自然光は使わない。全てをスタジオライクに設計されたストロボ光で描く。だからこそ、主役と脇役の光のさじ加減がすべてを決める。 まず目を引いたのは、仕入れごとに変わる前菜の盛り合わせ。この日は白アスパラと帆立のマリネ、バーニャカウダ風の野菜グリルなどが彩りを添える。ロデジャーノチーズのサラダは、硬質なチーズの削り出しが立体的な光を拾ってくれた。シャキシャキとしたリーフの瑞々しさと対照的だ。
アメーラトマトとブラータのカプレーゼは赤と白の質感勝負。ストロボの面光でトマトの艶を引き出し、ブラータの繊細な皮膜にディフューズを効かせた。ミネストローネは野菜の切り方と色合いが美しく、俯瞰の構図の中でも静かな存在感を放つ。
メインに向かう皿がまた良い。茨城県産ローズポークとそら豆のアラビアータは、脂の甘さと唐辛子のキレが共存する品。カット面の焦げと艶が写真映えする。常陸牛のタリアータは火入れも絶妙。断面のグラデーションと肉汁の照りが、まさに“光を呼ぶ”。
料理の撮影とは、素材だけでなく、その場の空気やシェフの哲学まで写し込むこと。すべてが揃った瞬間にだけ、写真が語り出す。今回は、そういう一枚が撮れたと思っている。
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ラ・クレアシオン
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